合成水晶にはパワーストーンとしての効果はあるのでしょうか?
ここでいう合成水晶は練り水晶(溶錬水晶)とは違います。
天然の水晶と同じ二酸化珪素の結晶構造を持つ物質のことです。
人工水晶と合成水晶は同じ意味です。
パワーストーン愛好家の中でもよく問題になりますが、改めて考えると難しい問題だということがわかります。
僕も疑問に思っていろいろ調べました。
でも、パワーストーンという言葉を使っている本で合成水晶について書いているものって意外と少ない事が分かりました。
ネット上の石を扱っているサイトを見ても合成水晶の効能について書いてあるものは少ないですね。書いてあっても天然だからいい。人工だから悪いという書き方しかしていないところも多いです。
天然ものの何がよくて、人工物の何が悪いのかについて書いているところはあまりありません。
という有様なので少ない情報から僕なりに考えてみました。
ここに書いてあるのが正しいとは限りませんが、参考にしてもらえれば嬉しいです。
人工水晶の効果を考える
風水の水晶
風水の世界で使われるアイテムは象徴的な意味合いで使われることが多いです。
使うアイテムにどういった意味が込められているかをまず知らなければなりません。
そのせいか風水の分野では天然物と人工物の区別はわりとゆるかやかな様に思えます。
練り水晶でも水晶の代用品になると書いてあるところもあります。練り水晶が使えるのなら当然、合成水晶も使えます。
風水では素材よりも形や色が重要な意味を持つ事が多いです。龍の置物だとか、八角形の鏡とか、黄色いお財布だとか。これらは明らかな人工物です。
アイテムの場合は形や色に意味があるからそれでいいのです。素材は問題ではありません。風水で使う水晶も透明な物であればよいのかもしれません。
ただし風水でも自然の物と指定することがあります。そのときは自然の物を使いましょう。自然の物という事に意味があるからです。
その場合は観葉植物とか鉱物を使います。水晶でも、磨いた丸玉よりもクラスターとか大きな結晶とか原石の方がいいと思います。
自然であることに意味があるなら、自然に近い状態の方が効果が大きいことになるからです。
つまり。
形や色に意味があるときは人工物でもいいです。
自然の物という条件があるときはできるだけ自然に近い物を使います。
状況によって使い分けましょう。
ヒーリングの水晶
ヒーリングの世界でも水晶が使われることがあります。
天然水晶だけでなく合成水晶も使えるという人もいます。
ヒーリングで重要なのは行う人の能力や方法です。
ヒーリングで使う水晶は道具に過ぎません。
道具の良し悪しによって効果が違う事もあるかもしれませんが、やり方や個人の資質の方が大きな影響が出るはずです。
ヒーリング技術に長けた人は水晶を使わなくても出来ます。もちろん道具があったほうがやりやすいという人もいるでしょう。
大切なのは、
どのやり方がその人にとってやりやすいか。効果が感じられるか。
という事なのです。
天然か人工かには意味はないのかもしれません。
ただし、天然の方が効果があると信じているならその方が効果が高く感じられる事はあると思います。
精神的な不安はできるだけ取り除いたほうが自信がもてるしリラックスできるでしょう。
道具に何をもとめるかという個人の価値観の問題になってきます。
科学的にはどうなの?
合成水晶は天然水晶と同じ二酸化珪素でできています。結晶構造も同じです。
つまり、物質としては同じ種類の物です。
硬度、熱伝導率等の物理的性質も同じです。
違うのは生成過程でとりこまれたごくごく微量の不純物の組成くらです。
天然水晶が自然界の世界で何万年とかけて作られるのに対して、人工水晶は何週間、何ヶ月という短期間で造ることが出来ます(ある日本の企業では3ヶ月かけて電子部品用の人工水晶を作るそうです)。
生成時間の差が効果の差だという人はいますが、問題なのは時間ではなく出来た物の性質です。現在の科学力では人工水晶と合成水晶の科学的な違いについて証明できるデータは、不純物の差くらいです。
赤外線スペクトルを測って人工物と天然物の違いを調べることは可能です。測り方や基準はJIS(日本工業規格)やIEC(国際電気標準会議)で決められています。
合成水晶は厳しい基準をもうけて天然物と同等の結晶構造をもつ水晶を作っています。現代では合成水晶の方が純度の高い物を作ることができるのです。
人工物のほうがクオリティ品質が高い
電子部品に使った場合でも天然水晶は人工水晶よりも性能がいい、という意見を聞くこともあります。確かに高品質な天然水晶は一般的な人工水晶よりも誤作動が少ないといわれる場合もあります。
しかし、天然水晶を電子部品に使う場合の留まりは数%程度。つまり90%以上の天然水晶は電子部品として使えません。数%の高品質な天然水晶がパワーストーン業界にやってくることはありません、電子部品になるからです。天然物にクオリティという言葉は使いたくはありませんが。あえて言えば、「クオリティ」ではパワーストーン業界にあるほぼ全ての天然水晶は人工水晶よりも劣ってしまうのです。
ちなみに逆に日本企業の人工水晶の歩留まりは95~96%。ほとんどの人工水晶が電子部品として使えるレベルにあります。中国製の人工水晶が日本製ほど高品質かはわかりませんが、それでも天然水晶に劣るということはないでしょう。
よく人工水晶はクズのような水晶を溶かして作るといいますが、これは間違い。
人工水晶は原料にも不純物の少ない高品質な水晶を使います。ガンマ線を照射して色が濁る物はアウト。微量のアルミニウムが入っているので使いません。人工水晶はそのくらい原料にもこだわって造られています。
置物になってる溶錬水晶の場合は、いわゆる「クズのような」といわれる水晶を使うこともあるのでしょう。
もっとも、本当の天然石好きなら「クズのような水晶」などとは言わないはずです。不純物や濁りも天然石の個性なのですから。
人工溶練水晶も天然水晶と同じ二酸化珪素を含んではいます。でも結晶構造を持っていません。ガラスの成分も混ざっていることがあるので物質的には水晶とは違う種類のものといえます。
水晶よりもオブシディアンやモルダバイトに近い物質といった方がいいかもしれません。
科学的には、物の性質は原子や分子の種類や並び方で決まります。
この考え方でいくと、天然水晶と合成水晶は同じ効果が得られるという事になってしまいます。
逆に、溶練水晶は天然水晶に劣るか。水晶とは違う性質を持つかもしれない、といわざるを得ません。
石の性質は石の持つ本来の能力で決まるなら、天然水晶も合成水晶も同じ効果が得られることになります。
パワーストーンの本を読んでいると「水晶は安定した振動数を持っているために時計等に使用されている」と書かれてることがあります。昔は天然水晶が使われていたかもしれませんが、現在では時計や電子機器に使われている水晶はほとんどが合成水晶です。
というより、時計や電子機器に使うために合成水晶は作られたのです。
つまり、合成水晶も安定した振動を持っているのですね。一見すると不思議な能力に思えるかもしれませんし、水晶は凄いと思える要素のひとつかもしれません。でもそれは合成水晶も天然水晶と同じ現象を引き起こす事ができるのです。
つまり理論的に考えれば、天然の水晶に何らかの効果があるとすれば人工的に作られた水晶にも備わっていると考えるべきなのです。
オカルト的には
パワーストーンの効果とされるものが、石が持つ性質でないとすれば他にどんな可能性があるのでしょうか。
石が出来た後に周囲の影響を受けることで能力が備わるとすれば、石の種類よりも石のおかれていた環境が問題になります。
人工水晶と天然水晶の違いを、長い年数をかけて自然のエネルギーを吸収してきたからだと説明する人もいます。
では、自然のエネルギーって何でしょうか?
その自然のエネルギーが存在するとしても、それが人体によいのでしょうか?
という問題が出てきます。
たとえば。
特殊な磁場のある場所では人体に悪い影響が出ることもあります。
体の具合が悪くなったり、幻聴、幻視が起きる事もあります。心霊スポットのいくつかはこうした磁場が人間の感覚に与える影響で起きるものだと説明できるかもしれません。
自然界にあるものだから人体によいとは限らないのです。
そもそも、放射線だって自然界にあるものです。太陽は天然の核融合炉です。
それに、石が蓄えていたエネルギーなら使ってしまえば終わりです。
逆に石にパワーを蓄えることができるなら、今から石にエネルギーを貯めてしまえばいいという事にもなります。
自然が蓄えたパワーにこだわるのであれば、自然の物を使うしかありません。
あなたが自然の石のパワーと人が蓄えたパワーの違いを実感できるなら、そうした方がいいです。
でも、使い方しだいで合成水晶にもパワーを持たせることができる可能性があるのです。
また「天然石には精霊がついていて自分を守ってくれる」と信じるなら、それでもいいと思います。
神社やお寺でお守りや御札を授かるのと同じですから。
信仰はときには心の支えにもなります(程度によります)。僕自身も家に神棚を置いて毎日手を合わせていますから、信じる力の否定はしません。
結局のところどうなの
つまり、
天然か合成かというのは、
その人が水晶に何を求めているかによって変わってきます。
自然界で作られた鉱物をコレクションしたいのであれば、天然物にこだわってください。
象徴的な意味合いとして使うのであれば、天然物か人工物かは問題ではありません。
「天然物であるという条件」が必要なのであれば、天然物でなければなりません。
結局、天然物だからいいというのは、
「天然物がいいと信じてるから、天然物がいい」
ということくらいしか、いまのところ客観的に評価できるものがありません。
原点は自然崇拝だった
パワーストーンの効果とされるもののいくらかは、ニューエイジ思想をもとにしています。
石への信仰は大昔からありましたが、現代のパワーストーンブームはニューエイジを出発点にしています。
ニューエイジ思想とは、物質社会、科学、政治体制を批判し、そこから開放された生き方をしようという思想や活動のことです。
特に教団や組織があるわけではありませんが、ある思想のもとに活動をしているという意味では宗教と同じです。魂の開放とか宇宙の意志とか現代宗教以上に宗教的です。
僕もオカルトは大好きで霊の存在を否定はしません。でも、ニューエイジに対してはそこまで偏らなくてもいいんじゃないの?と思うことはあります。
ニューエイジ思想は現代の精神世界にかなり影響を与えています。科学的なものを否定しているので、現代科学で作ったものには「悪」というレッテルを貼ります。
だから、ヒーラーやニューエイジの運動家は天然の石にはパワーがあるけど、人工の石にはパワーがないというのです。
つまり、「天然物にパワーがあって、人工物にはパワーがない」というのは 宗教 なんです。
つまり「信じる、信じない」の世界です。
ですから最終的にはあなた自身が判断するしかありません。
まだ見ぬ可能性
もし例外があるとすれば。
あなたが、現代の科学力を上回る超高感度の能力をもっていた場合かもしれません。
でも、現代科学を超えた特殊な才能の人しか感じられない性質なら、一般人がその効果を実感できるのでしょうか?
もちろん、科学は常に進歩しています。現代では分からなくても、新発見があって未知の力が証明される日が来るかもしれません。
だから科学者も100%の絶対否定はできないのです。でも、否定できないから「効果があります(個人差があります)」という理屈がまかり通ってしまうのもまた事実です。
もちろん、だからといって人工の物を天然物を偽って売るのはいけない事です。
石の効果を語る以前の問題です。
依存しすぎない
ただひとついえるのは。
パワーストーンは薬ではありません。
何も考えずにただ持っていても効果はありません。
天然か合成かという事を気にする前に、あなたが石に何を期待しているのか考えたほうがいいです。
石を通じて
自分がどうありたいのか
考えて行動しないと何も変わりません。
天然でも人工でもパワーストーンをうまく使えば精神的な苦痛が和らぎ、自分をよりよい方向へ成長させるためのよいパートナーになります。
天然物に過剰な期待をしてこだわりすぎると、無駄に高い出費をしてしまうことになります。
100%の効果が保障されない不確かなものに対して、あなたが何を期待してどこまでなら対価を支払ってもいいと思えるのか。
石を選ぶときはそんなことも考えてから買うと後悔しなくてすむようになります。
以上、たかふみでした。
コメント
気分でというのであれば
ガラスのコップでよろしいですよね
※ガラスと水晶は結晶かそうでないかの違いですから
それならキッチンはパワースポットか、凄いね。
ガラスのコップで悪霊よけられるんだ、へぇ。
って話になっちゃいますよ?(^^;
ゆりさん、こんにちは。おっしゃるとおりです。
科学的には天然物のパワーは証明出来ませんから「気持ち」の問題になるかと思います。そもそも「スピリチュアル」とは「精神的な」という意味ですから。それでいいのではないでしょうか。
ちなみにガラス食器に使われるソーダガラスはSiO2だけでなくナトリウムやカルシウムも混ざってます。成分としては「Na2O-CaO-SiO2」になります。「ガラスと水晶は結晶かそうでないか」という考えは正しくありません。
石英ガラスであればSiO2だけなので、結晶になってない水晶といえます。でも石英ガラスの食器は高価なのであまり普及していないと思います。
とはいえ、結局のところは「信じる」「信じない」の世界ですから。ガラスでも悪霊を避けられると”何の疑いもなく本気で信じれば”それでもいいのではないでしょうか。何を信じるかによって変わってくるのでしょうね。
良い記事ですね。
溶練水晶バッシングには辟易していたので胸がすく思いです。
安い人工水晶よりも天然水晶を高く売って儲けたい業者さんには耳が痛い記事だろう(笑)
あとボッタクリ価格で購入してしまったオカルトマニアも発狂しそうだね。
鰯の頭もさん、こんにちは。ありがとうございます。天然物も人工物も使い方しだいだと思うのです。おっしゃる通り、身もフタもない言い方をすれば売る側の都合になってしまいますよね。