人工水晶は右水晶しかない。だから左水晶を選べば天然の物に間違いない。と書かれていることがよくあります。
確かに電子部品に使われる人工水晶は右水晶が多いです。それは製造工程の都合なので、右水晶と左水晶に能力の違いあるわけではありません。
また工業製品に使われる水晶が右水晶だからといって人工水晶の全てが右水晶とは限りません。
右水晶しか使ってはいけない。と決まってるわけではないからです。
工業用水晶は右が一般的
どうして工業用の水晶には右水晶が多いのでしょうか。
水晶を加工するときは結晶の成長方向にそって加工しなければいけません。削り方を間違うと水晶振動子にしたときの性質が変わってしまうからです。
木を加工する時に木目に沿って削るのと似ているかもしれません。
右水晶なら右水晶に適した削り方、左水晶なら左水晶に適した削り方があるのです。
もちろん結晶の向きに関係なく削っても加工はできます。水晶振動子としての性能を考えなければ、どちらの方向に削ってもかまいません。
ところが、工場で加工する時にいちいち右水晶と右水晶で工作機械の設定を変えていたのでは大変です。だから加工の方向は同じにしているのです。
右と左どちらが優れているという問題ではなく。加工の設定の手間を省くために同じ方向に成長したものだけを使ってる。というだけの話です。
産業界の売る方と買う方でルールを決めておけば、どこから買っても同じ機械で加工できるよね。
ということで右水晶が使われることが多い。というだけです。
しかも人工水晶は100%右水晶。とは限りません。
左水晶に適した削り方をすれば性能は問題ないからです。「うちは左水晶も削れるよ」という加工メーカーなら左水晶を使うこともあるかもしれません。
また規格で右しかない。とネットで書かれていることがありますが。そうではありません。
JIS(日本工業標準)では右水晶と左水晶の規格があります。
IEEE(米国電気電子学会)の規格では右と左はわけてはいません。規格は一つです。右水晶と左水晶は数値を変換して表示します。
人工水晶の規格(JIS6704)にはこのように書かれています。
「この規格」とはJIS6704のことです。右水晶と左水晶は、数値の符号(+か-)の違い、座標の表現方法の問題だということがわかります。
人工水晶の品質は数値が規格やメーカーの求める基準にあっているかどうかで決めます。左水晶だから使ってはいけない。と決めているわけではないのです。
人工の左水晶が市場にないわけではない
工業製品に右水晶が使われているからといって、パワーストーンとして売られている人工水晶に左水晶がないとはいえません。
日本の人工水晶製造メーカーならほぼ狙ったとおりに右水晶を作ることができるでしょう。
でも品質管理がうまくできない製造メーカーなら製造工程で左水晶ができてしまうかもしれません。その場合は規格外品として扱われ、安値で処分されます。つまり観賞用の水晶(水晶を削って作った置物など)の材料として売られることになります。
人工の左水晶がパワーストーンの水晶になる可能性があるのです。
また最初から観賞用・工芸品のために造られた人工水晶なら右や左は関係ありません。中国やロシアでは外貨獲得のために人工石の製造が行われています。この場合「左水晶だから天然」という法則はあてはまりません。
つまり、パワーストーンを含む観賞用の人工水晶にはむしろ左水晶の方が多い可能性すらあるのです。
全て調べたわけではありませんが。左水晶だから全て天然。とはいえないのです。
盲目的に「左水晶だから天然」と信じて左水晶ばかりを求めるのは、避けたほうがいいかもしれません。
もちろん人工水晶だから天然物に劣るわけではありません。少なくともパワーストーンとして売られている天然水晶には人工水晶より純度の高いものはほとんどありません。あなたが意思に何を求めているかよく考えて購入してください。
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