一見すると灰色の地味な石なのに、光をあてると緑や青に輝く不思議な石。
ラブラドライトはどうしてこんなふうに輝くのでしょう。
光の反射によって、さまざまに色の変わるこの石の効果は
ラブラドレッセンスといわれています。
参考記事: ラブラドレッセンスの見分けかた
どうしてラブラドレッセンスが起きるのか調べてみましょう。
ラブラドレッセンスの起きるわけ
ラブラドライトに見られるこの現象ですが、全てのラブラドライトにラブラドレッセンスがあるわけではありません。むしろ、鉱物としてのラブラドライトにはラブラドレッセンスがないものの方が多いのです。
成分は同じなのに、ラブラドレッセンスがある物とない物があるのはなぜでしょう。
その違いは結晶の並び方にあります。
ラブラドライトの結晶は薄い板の様なものです。
その薄い板が何枚も重なって石になっています。
石の断面を簡単に描くとこんなイメージになります。
プリズムというものがありますよね。
太陽の光(白い光)が当たると、いろいろな色の光に分かれる現象です。
石に光が当たるときも似たようなことが起こります。
表面で反射される光と吸収される光に分かれるんです。
しかも、
吸収された光は、さらにその下の層で反射する光と吸収される光に分かれます。
実際には、反射した光も別の面に当たって反射と吸収されます。
こうして、何度も何度も繰り返し光が反射と吸収を繰り返します。
ここまでは、他の長石でも起こります。
でも、反射と吸収を繰り返すと光がばらばらになってしまって
人の目には色がついているに感じません。
だから、白っぽく見えたり灰色っぽく見えたりするのです。
ラブラドライトが特別なのは、
反射して人の目に入る光が、緑や青に見えるように調節されたものが届いてる。
ということです。
簡単に言ってしまうと
積み重なったラブラドライトの薄い結晶が、光を仕分けして青や緑の光だけを届けている。
ということになります。
スペクトルは七色の光を分けることができますが。
ラブラドライトは、結晶の大きさや層の薄さが最終的に緑や青の光を取り出せる大きさになっているからです。
色の素がないのに色が付く構造色の不思議。
色の付いている石というのはたくさんあります。
普通は石に入っている成分自体が色を持っているから、色の付いた石にみえるのです。
でも、
ラブラドライトにはラピスラズリやマラカイトの様に色を着ける成分が入っているわけではありません。
ラブラドライトは結晶が光を反射したり吸収したりする事を繰り返すことで
色がついているように見えるんです。
これを、「構造色」といいます。
構造色は最初から色の素になる成分がないので、色が劣化しません。
素材の形が残ってる限りは色が出ます。
ただし、強い光が当たらないと色は見えません。
原理としては玉虫みたいな昆虫の殻に色が付いているのと似ています。
玉虫の殻には緑の色素が入ってるわけじゃないんです。
でも、ラブラドライトと玉虫の違いは。
玉虫はどの方向から見ても、緑の色がついているように見えるけど。
ラブラドライトは、限られた方向から見ないと色が付いてるように見えないことです。
これは、玉虫の殻が非常に均一で、どこに光が当たっても同じように光を取り出せるからです。
でも、
ラブラドライトは、不均一なので、光の当たる場所によっては色が見えたり見えなかったりします。
石は自然界で偶然にできたものだから仕方ないですね。
でも、そのぶん色の付いているラブラドライトは貴重な存在だということです。
逆に言うと、生き物って凄い。って思いませんか?
石って、調べれば調べるほど面白いですね。
以上、たかふみでした。
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