見た目の美しさや、石の性質としても興味深いキャッツアイ効果(シャトシャンシー)。
昔から人々はキャッツアイ効果そのものに特別な意味があると信じていました。
なぜでしょうか。
それはキャッツアイ効果が多くの人に「目」を連想させたからです。
「目」にはどんな意味があるのでしょう。
それには大昔から人々が目に対して持っていたイメージを知るところから始めなくてはなりません。
「目」の魔力
人間が目から得られる情報は、五感から得られる情報の8割を占めているといわれます。現代においても人間は目から多くの情報を得ています。
科学の発達していない時代には、目から得られる情報の役割はもっと大きかったでしょう。
そして古代の人々が人間にとって一番大切な感覚器官である目には五感以上の力があるのではないかと考えるようになったとしても不思議ではありません。
凡人の目ですら多くの情報が得られるのです。
もっと能力の高い人や生き物の目ならもっと多くのことが分かるに違いない。目の前にあるものだけでなく、未来のことや霊の世界まで見えるかもしれないと考えられるようになりました。
ホルスの目
眼の魔力で有名なのは「ホルスの眼」でしょう。
古代エジプトで隼の頭を持つ神として描かれる「ホルス」です。
隼は非常に視力がよく、しかも時速300km以上で空を飛ぶことができます。空高くにいながら小鳥(隼の飛んでる場所に比べれば地上に近いところにいます)を見つけて捕まえることができます。隼は古代人にとってはとてつもない能力を持つ生き物だと思われていました。もちろん、隼が目のいい生き物だという事は古代の人も分かっていました。
古代中東に住む人たちにはこの隼を神格化した神様を信仰してました。各地で信仰されていた隼の神様がエジプトが統一されるときに天空の神ホルスになります。ホルスは、全てを見通す力を持つといわれています。その力の象徴が「ホルスの目」なのです。後に「ウジャトの目」「ラーの目」とも言われるようになりました。
この「ホルスの目」は、「全てを見通す力」「再生、癒しの力」の象徴とされています。
「万物を見通す目」あるいは「プロビデンスの目」の元になったとも言われています。
フリーメイソンのマークとか言われるやつ(本当は関係ありません)
邪眼(evil eye)
目に特別な力があるとしたら、良い力だけではなく悪い力もあります。
ケルト神話の魔王バロールは片方の目の視線で相手を殺すことができました。あまりにもの強さゆえに、普段は邪眼を閉じていたそうです。
見たものを石にするバジリスクなど似たような伝説は数多くあります。
古来より世界中で邪視、邪眼、魔眼とされるものが信じられて来ました。
相手を睨んだだけで身動きできなくしてしまう、病気にしてしまう等など、不幸をもたらす力があるとされたのです。
時には、見ただけで災いがおきるとさえも言われました。
だから昔の人は目の力を非常に恐れたのです。
しかし、邪眼に対抗できるのも「目」なのです。
守る側に目があることで相手の視線をそらすことができる。逆に邪視の持ち主の視線を釘付けにしてしまって、災いをうけなくてすむのです。
そこで、世界各地で目の形を模様にしてお守りにする習慣が出来ました。
目の模様を持つパワーストーンに込められた力
目には「不思議な力を持つ目」と「災いから守ってくれる目」両方の信仰があります。
こうした信仰を持つ人々が、目の模様を持つ輝く石を見たとき。
人々はこの石にも目の力が宿っているに違いないと考えるようになったのです。
作りもののアミュレットでさえ邪眼から守ってくれると信じられていたのです。
美しい輝きを持つ貴重な石ならもっと強い力があると考えても不思議ではありません。
そして今。
キャッツアイ効果を持つパワーストーンの効果というものは、明らかにこうした目の力に対する考えが取り込まれています。
それは石の組成に関係なく、目の輝きがあるという事が重要なのです。
もちろん、個々のパワーストーンにはキャッツアイ効果だけでなく、色や他の模様もあります。
だから、クリソベリルキャッツアイとタイガーアイが同じ効果というわけではありません。
でも、どちらも洞察力、視野を広める、目に見えないものを知る力、魔よけといったキーワードが含まれているのは、そういった考えがあるからなのです。
もしあなたが、キャッツアイ効果を持つ石をお守りとして持ちたいなら。
キャッツアイ効果がはっきり出ているものの方が良いのかもしれませんね。
虎の目伝説と古代エジプトは関係ない?
タイガーアイとホルスの目の話が出たついでに書きます。
日本のパワーストーン関係の説明で「古代エジプトで虎の目には全てを見通す力があるのでタイガーアイが神の像の眼として使われた」という内容の説明がよくあります。
でも、エジプトの像の眼は黒っぽいです。水晶と黒曜石の組みあわせ。あるいは色ガラス(古代ではガラスも貴重品です)が使われているみたいです。
そもそもエジプトに虎はいません。エジプトには虎を神格化した神様や神獣はいませんね。エジプトでネコ科の生き物といえば、ライオンか猫です。
虎はユーラシア大陸の生き物ですね。トルコやイランあたりまではいたらしいですが絶滅してます。エジプトのあるアフリカ大陸はライオンの生息地です。
中国とエジプトが混同されたんじゃないでしょうか。
というわけで、「虎の目が全てを~」の伝説とエジプトは関係ないと思います。ホルスの目の信仰と神の像に使われた黒い石が間違って伝言ゲーム的に広まっていった可能性があるかもしれません。
古代エジプトでは太陽のシンボルとしてカーネリアンが使われていましたが。まさかそれが間違われたんでしょうか。カーネリアンがないときは、似た色の石を使ってたようです。石英系や長石系の石が使われたことはあるみたいなので、その中にタイガーアイかそれに似た石が使われてた可能性はあります。
というわけで、古代エジプトとタイガーアイの関係を調べても見つける事は出来ませんでした。
少なくとも古代エジプト王朝期には、あんまり関係なさそうです。
でも古代エジプト王朝滅亡後、ペルシャやローマ帝国の支配下にあったときには状況が違ったかもしれません。でも、古代ローマやペルシャが起源ならわざわざ古代エジプトと強調する必要はないと思います。
ちなみに、古代ヨーロッパで使われてたといわれるタイガーアイはクオーツ・キャッツアイ(アミアンサス)といわれています。確かに、黄色っぽいアミアンサスはタイガーアイそっくりでしょう。
アミアンサスとタイガーアイを間違ってる可能性もありますね。
以上、たかふみでした。
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